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麻酔管理は,鎮痛・意識消失・筋弛緩に加え侵襲制御に対して重要な役割を担っている。侵襲に対する生体防御反応は神経・内分泌・免疫系で調節されるが,これらは独立した系ではなく密接にクロストークを行っている。さらに炎症反応,血液凝固系も密接に関連し,複雑系を形成している。侵襲局所でのシグナル発動には自然免疫の担当細胞であるマクロファージや好中球などの活性化が深くかかわっている。したがって,外科侵襲と生体防御を理解し,より質の高い麻酔管理を行うためには免疫系の理解が必須となってくる。過剰な炎症反応の制御,神経系とのリアルタイムな関係,栄養学的介入,長期予後改善のための免疫系の理解は麻酔科学を周術期医学としてさらに発展させることの一方法になると考えられる。また,明日からの業務でもアナフィラキシー,免疫能低下患者,移植手術,癌性疼痛管理と免疫系の理解が必要となる場面は少なくない。本特集が読者の明日とさらなる未来への発展に役立つことを願っています。
▼最強免疫道場 824
大分大学医学部 麻酔科学講座 岩坂 日出男
免疫事始め/特集を読む前に免疫一般の基礎/自然免疫系の基礎/獲得免疫系の基礎/免疫系を構成する細胞群/自然免疫系と獲得免疫系の連携/今後の免疫研究への期待と応用
▼炎症・抗炎症と免疫のクロストーク:手術と麻酔と免疫担当細胞の関係 832
京都大学大学院医学研究科 初期診療・救急医学分野 松田 直之
炎症性手術と相対的非炎症性手術/炎症性受容体の発現/炎症と転写因子NF-κB/抗炎症性サイトカインと臓器障害の関連/オピオイドの免疫抑制作用/静脈麻酔薬による免疫担当細胞への影響
▼神経系と免疫のクロストーク:中枢への情報入力と出力 838
愛媛大学大学院医学研究科 救急侵襲制御医学講座 相引 眞幸
神経系と免疫との関係/免疫系の種類/免疫を調節する神経系/どのような情報が,中枢神経系に伝えられるのか/免疫神経調節による敗血症治療の可能性
▼外科侵襲と免疫のクロストーク:自然免疫から獲得免疫まで 842
防衛医科大学校防衛医学研究センター 外傷研究部門 小野 聡・齋藤 大蔵
外科侵襲と生体反応/外科侵襲と炎症反応/外科侵襲と免疫応答
▼栄養と免疫のクロストーク:重症患者にもっと栄養学的介入を! 848
大分大学医学部 麻酔科学講座 松本 重清
栄養で侵襲を制御できるのか?/グルタミンの補充,忘れてませんか?/アルギニン,傷はとってもよくなるけど…/母乳にも豊富に含まれている核酸/脂肪酸と炎症?/血管内皮傷害をもたらす過剰な活性酸素種の制御には微量元素や抗酸化ビタミンが大活躍!/今後のimmunonutritionは?
▼長期予後と免疫:長期予後を改善するための方策 856
東北大学病院 歯科麻酔疼痛管理科 城戸 幹太
九州大学大学院歯学研究院 口腔生体統御学分野 横山 武志
手術・麻酔侵襲と免疫応答/長期予後を改善するための方策
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