特集 栄養療法
5.厳格な血糖管理tight glycemic controlの理論―高血糖が有害事象を発現するメカニズムとインスリン療法のメカニズム
岩坂 日出男
1
Hideo IWASAKA
1
1大分大学医学部 麻酔科学講座
pp.445-459
発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100067
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外傷,感染,手術などの侵襲に対して生体では,内分泌系,神経系,免疫系が密接に連携したストレス反応が生じる。ストレス反応を形成する炎症性サイトカインや抗侵襲性ホルモンは糖新生を亢進させると同時にインスリン抵抗性を高め,また,インスリン分泌障害も誘導されることで,ストレス誘導性高血糖が生じる。さらに,栄養学的介入は重症患者に急性高血糖をもたらしやすくし,高血糖自体が,炎症反応をさらに増幅させることで有害事象をもたらす。このため,抗炎症作用もあるインスリンを用いて血糖管理を行うことは,この悪性のサイクルを断ち,生存率を高めることにつながる。本稿では,高血糖が有害事象をもたらすメカニズムとインスリン療法のメカニズムについて概説する。
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