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■ProSealを選択,確実に挿入・固定し,患者の傍を離れず,こまめにチェック
適応を考えよう
LMAによる気道管理が適応であることが必須条件になる。当然ながら,誤嚥の危険性のある症例では使ってはいけない1)。次に,陽圧換気が必要か否か検討しよう。LMAが許容できる気道内圧には限度がある。LMA挿入下に過剰な陽圧がかかれば合併症のリスクが増すので,気管挿管を検討すべきだろう2)。たとえば極端な肥満症例や,術中に肺を虚脱させて再び加圧する必要のある症例では気管挿管が適応だろう。
■換気モードは,換気量を確実に確保するにはVCV,低い気道内圧で必要な換気量を確保するにはPCVを
LMAは,挿入に筋弛緩を必要とせず,自発呼吸を温存して術中管理することができる喉頭上気道確保器具として開発された。その後,胃管を留置できるProSealが開発された。背側にカフを設けたことにより,Classicに比べて低いカフ圧で高いシール圧を得ることができるようになった。ProSealは陽圧換気を行うのに適したLMAである。新しい短時間作動性麻薬としてレミフェンタニルが使用できるようになり,手術中これまでと比べてはるかに高濃度の作動部位麻薬濃度をレミフェンタニルで維持しても,早期覚醒が可能な麻酔管理が可能になった。このような麻酔管理では,麻薬による呼吸抑制が強く表れるため,陽圧呼吸を行わざるを得ないことが多い。
LMAの適応術式も拡大し,腹腔鏡手術や開腹手術に対しても積極的にLMAが使用されるようになった。手術操作上,調節呼吸を行う必要がある症例に対しても,ProSealを用いれば,安全に陽圧換気で麻酔管理が行える。
LMAを用いたときは自発呼吸という固定観念は過去のものとなり,LMAで陽圧呼吸を選択することに躊躇する必要はなくなった。本稿では,兵庫医科大学病院におけるProSealの使用状況を紹介し,陽圧換気時の注意点を検討する。
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