徹底分析シリーズ 輸液管理:病態と輸液剤の選択
人工晶質液の上手な選択法
井上 聡己
1
Satoki INOUE
1
1奈良県立医科大学 麻酔科学教室
pp.108-111
発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100582
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晶質液とは,膠質成分(コロイド)を含まない電解質液のことである。基本的に電解質は細胞膜を通過しないと考えられ,電解質液には晶質浸透圧が生じることとなる。血漿浸透圧と同等のものを等張液,高いもの低いものをそれぞれ高張液,低張液と呼ぶ。この晶質浸透圧により細胞内外で水分の移動が生じる。術前脱水の補正や維持補液(細胞内外への水分,電解質の補給)としては低張液を使用し細胞外だけでなく細胞内への水分の移行を晶質浸透圧を利用して行うようにさせる(図1)。電解質の細胞内への移行は能動的ポンプ機能によって行われる。麻酔中にも術前脱水の補正などに低張液を利用することは理にかなっているが,やはり,麻酔中使用の主体となるのは細胞外液補充用製剤であり等張液である。ここでは主に細胞外液補充用製剤を取り扱うことにする。
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