臨時増刊特集 日常役立つ診療技術
治療篇
15.輸液—注入液の選択と計画
飯田 喜俊
1
,
福原 吉典
1
1大阪府立病院腎疾患センター
pp.2042-2047
発行日 1976年12月5日
Published Date 1976/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206951
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注入液の選択と計画のたて方
輸液を行う場合として,①電解質や塩酸基平衡の異常の補正のため,②経口的に摂取できず,非経口的に電解質や栄養を補うため,③特殊な治療目的,たとえば急性腎不全や脳浮腫にマニトールを与えて改善をはかる場合などがある.それぞれ病態に応じ,必要に応じて輸液が選ばれ,計画される.
電解質の異常は大別して表1に示すものがある,この表ではそれぞれの対策についてもまとめた.しかし,実際の症例では,これらの異常のいくつかが組み合わされてひとつの病態をつくっていることが多く,対策もそれぞれに応じて対処さるべきである.一方,ある体液異常が他の異常から二次的に生じる場合もあり,この際には一次的異常を補正することによって二次的異常も正常となることもあり,一次的異常の補正のみで十分なことがある.それ故,これらの見極めのためにも患者の病態,すなわち,どのような種類の体液バランスの異常があるか,また,それら異常の間にいかなる関係があるか,などについて知る必要がある.一方,患者が非常に重篤で,詳しく病態を検討する余裕がなく,とりあえず応急的に輸液を始めることがある.この場合には,輸液を行っている間に検査データが揃うので,病態が明らかになった段階で,それに適した輸液にきりかえる.
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