徹底分析シリーズ 心不全に挑む
心筋再生医療の可能性
神田 真人
1
,
永井 敏雄
1
,
小室 一成
1
Masato KANDA
1
,
Toshio NAGAI
1
,
Issei KOMURO
1
1千葉大学大学院医学研究院 循環病態医科学
pp.1094-1096
発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100478
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厚生労働省の統計では,心疾患による死亡数・死亡率は,昭和60年に脳血管疾患にかわり第2位となり,その後も上昇傾向を示し,平成19年の全死亡者に占める割合は15.8%に達している。特に,重症心不全の予後は薬物療法,外科手術の発達にもかかわらず不良であり,3年生存率が30%以下といわれている。また現在,唯一の根治的な治療法である心臓移植も日本ではドナー不足のため一般化していない。したがって,従来の治療方法の適応とならない重症心不全,虚血性心疾患の新しい治療方法として再生医療が期待されている。
心臓の再生療法の戦略には,外部から心筋細胞あるいは心筋細胞への分化が約束づけられている前駆細胞を補充する細胞移植療法と,心臓に内在する幹細胞を増殖・分化させて心筋組織を再生する心筋細胞分化療法の2種類が考えられている。後者の方法が真の意味での心筋再生であるが,実際には困難な点が多く,細胞移植療法が先んじて研究され,一部の細胞で臨床試験が開始されている。
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