Japanese
English
特集 心血管系における再生医療・遺伝子治療
心筋における再生医療
Regenerative Therapy in Cardiovascular Disease
藤原 正樹
1
,
小室 一成
1
Masaki Fujiwara
1
,
Issei Komuro
1
1千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学
1Department of Cardiovascular Science and Medicine, Graduate School of Medicine, Chiba University
pp.363-369
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902453
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
高齢化社会,食生活の欧米化に伴い,心不全患者は増加している.心不全に対する内科治療として従来から利尿剤,強心薬,血管拡張薬が用いられてきたが,最近ではACE阻害薬,AT 1受容体拮抗薬,β—blockerが用いられ,大規模臨床試験において,実際に生命予後を改善することが示されている1,2).しかしながら,心不全の予後は不良であり,自覚症状が出現してから5年間の生存率は50%以下であり,重症な心不全では20%以下と,生命予後は癌よりも不良である.
難治性心不全,重症心不全に対する治療として心臓移植があるが,わが国ではドナーは年間10人足らずであり,移植を必要としている人が数百人いるとすると,移植では1/100の患者しか救えない.さらに移植後の免疫反応,他人の臓器を用いるという倫理的な問題からも心臓移植には限界がみえてきている.それに代わる治療法の有力な候補として遺伝子治療および細胞移植による心筋の再生治療が考えられている.遺伝子治療は,米国を中心に各種疾患で使用され効果をあげはじめており,細胞移植は,自己の細胞を用いて障害された臓器の細胞を再生するという点で拒絶反応などの問題がなく,心筋再生の分野でも優れた治療法として期待されている.以下に心筋再生に関する遺伝子治療,細胞移植について現況と今後の展望を述べる.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.