徹底分析シリーズ 心不全に挑む
左室補助装置(LVAD)装着と心移植の麻酔管理
蜷川 純
1
,
金 信秀
1
Jun NINAGAWA
1
,
Nobuhide KIN
1
1東京大学医学部 麻酔学教室
pp.1088-1092
発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100477
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左室補助装置装着1)
左室補助装置(LVAD)を装着するくらいであるから,当然患者は重症の心不全を有している。心臓麻酔の基本は,その疾患に適切な前負荷,後負荷を保ち,心臓の収縮力,拡張能を維持することで十分な心拍出を得ることである。
収縮力と拡張能が落ち込んでいる重症心不全の患者では,前負荷,後負荷,心拍数の「適切な」範囲が非常に狭い。これらが麻酔導入によって適切な範囲から逸脱しないように細心の注意が必要になる。しかし,重症心不全では,交感神経活動が亢進しており,麻酔薬による交感神経の抑制の影響が通常の患者より大きいため,細心の注意をもってしても血行動態の悪化が起こる可能性は十分にある。
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