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特集 心筋再生と心筋保護
心臓幹細胞移植による心筋再生医療の臨床応用への可能性
Cardiac Stem Cell Therapy for Myocardial Regeneration
王 英正
1
Hidemasa Oh
1
1京都大学医学部付属病院探索医療センター探索医療開発部
1Department of Experimental Therapeutics, Translational Research Center, Kyoto University School of Medicine
pp.721-726
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100828
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はじめに
成熟心筋細胞は長い間,終末分化を遂げた細胞として解釈され,様々なストレスや障害に対しては細胞肥大という形態でのみ適応するといわれてきた.しかしながら,ここ数年来での研究によって,成熟した心臓組織は完全に自己増殖および分化を停止した臓器でなく,ごくわずかしか存在しないものの,内在性の心筋幹細胞によって自己再生できる可塑性を持った組織であると科学的認識が大きく変化してきた.この画期的な進歩は,自家細胞移植の実現によって,従来から研究が進められている増殖能の極めて高い胚性幹細胞に比べ,潜在的に存在する倫理的な問題を克服できる.
本稿では,近年の研究で明らかとなったヒト心臓組織固有幹細胞の単離法と今後の心筋幹細胞移植療法における臨床応用に向けた展開について述べる.
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