徹底分析シリーズ 冠動脈疾患患者の麻酔“Pros & Cons”
冠動脈疾患患者の麻酔に硬膜外カテーテルを併用すると予後はよくなる?―硬膜外カテーテルと抗凝固の問題
坪川 恒久
1
,
川上 裕理
2
Tsunehisa TSUBOKAWA
1
,
Hiromasa KAWAKAMI
2
1金沢大学医薬保健学域医学系 機能回復学
2横浜市立大学附属病院 麻酔科
pp.1000-1007
発行日 2008年10月1日
Published Date 2008/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100460
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冠動脈バイパス術(CABG)に硬膜外麻酔を併用することの利点として,冠動脈拡張作用,術後心筋梗塞の発生率の低下,術後呼吸障害,腎障害,不整脈の減少などが数多く報告されている。硬膜外血腫や神経損傷などの穿刺に伴う問題点がなければ,冠動脈バイパス術の麻酔管理における硬膜外麻酔の併用は一般的に普及していただろう。しかし,現実的には硬膜外血腫を回避するために全身麻酔単独で麻酔管理している施設が多いのではないだろうか。
では,冠動脈疾患を有する患者の非心臓手術において,硬膜外麻酔は有用であろうか。この問題の検討となると,硬膜外麻酔の内容を考慮する必要がある。先に挙げたCABGにおける硬膜外麻酔の有用性は,高位胸部硬膜外麻酔で局所麻酔薬を薬液として使用した場合の結果である。一口に硬膜外麻酔といっても,穿刺部位(胸部か腰部か),使用時期(術中のみ使用,術中術後継続使用,術後のみ使用),投与薬液(局所麻酔薬単独,局所麻酔薬とオピオイドの併用,オピオイド単独)とさまざまな投与プロトコールが考えられ,効果が異なるかもしれない。
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