投稿論文 短報
硬膜外カテーテルが屈曲した症例
黒岩 香里
1
,
笠松 晴香
,
中澤 遥
,
田中 秀典
,
井出 進
,
西澤 政明
1長野赤十字病院 麻酔科
キーワード:
硬膜外麻酔
,
機器機能不全
,
カテーテル
Keyword:
Anesthesia, Epidural
,
Equipment Failure
,
Catheters
pp.301-303
発行日 2021年3月10日
Published Date 2021/3/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2021190163
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症例は24歳男性で、左自然気胸に対し、胸腔鏡下肺囊胞切除術を予定した。硬膜外針のベベルを頭側へ向け、太さ0.85mmの硬膜外カテーテルの挿入を行った。カテーテル挿入の際に抵抗を感じたが、力を入れると進めることができたので、そのまま頭側へ5cm硬膜外腔に留置した。10万倍アドレナリン添加1%リドカインでテストドーズを行おうとしたが、カテーテルから薬液が注入できなかった。強い抵抗があり注入できないので、硬膜外針からカテーテルを引き抜いてカテーテルを確認したところ、カテーテルの先端部分に屈曲を生じていた。抜去したカテーテルに生理食塩液を通したところ、スムーズに注入され、血液による汚染は認めなかった。硬膜外針から生理食塩液を投与し、硬膜外腔であることを再度確認のうえ、屈曲したカテーテルを真っすぐに伸ばして挿入した。今度は抵抗を感じず、皮下に10cm挿入できたが、薬物の注入はできなかった。カテーテルを2cmほど引き抜いて再度テストドーズを試みたが、注入できなかった。カテーテルの屈曲が薬物注入困難の原因ではないかと考え、新しい硬膜外カテーテルを用意した。新しいカテーテルに屈曲がないことを確認し、硬膜外針から挿入した。抵抗なく皮下に10cm挿入でき、テストドーズも問題なく注入できた。硬膜外カテーテルは10cmのところで患者の皮膚に固定され、テストドーズの効果を確認後、通常の全身麻酔が導入された。術中の麻酔経過にも問題はなかった。
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