徹底分析シリーズ 冠動脈疾患患者の麻酔“Pros & Cons”
コラム:冠血行再建の現状1:経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の現状と,冠動脈疾患患者の非心臓手術に対する循環器内科医の考え方
木村 剛
1
Takeshi KIMURA
1
1京都大学大学院医学研究科 内科学専攻内科学講座循環器内科学
pp.964-967
発行日 2008年10月1日
Published Date 2008/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100455
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従来,日本は諸外国に比べ,冠血行再建術のなかで経皮的冠動脈インターベンションpercutaneous coronary intervention(PCI)の占める割合が高いと指摘されてきた。それでも,従来のベアメタルステント(BMS)の場合には,臨床的再狭窄の指標である標的病変再血行再建targeted lesion revascularization(TLR)の頻度は病変単位で20%前後と高く,再狭窄を繰り返す,あるいは再狭窄のリスクが高いという理由で冠動脈バイパス術(CABG)が選択される例も多かった。薬剤溶出性ステントdrug-eluting stent(DES)の導入により,TLRの頻度は10%以下に低下し,再狭窄の頻度が高いことが理由でCABGが選択される症例が減少している。また,低い再狭窄率を根拠に左主幹部疾患にもPCIが選択されるケースも増加し,全体としてCABG施行症例数はかなり減少していると推定される。したがって,冠血行再建術のなかでPCIの占める頻度,役割は従来にも増して大きくなっていると言える。
一方,冠動脈疾患の好発年齢と非心臓手術の好発年齢は一致しており,非心臓手術を予定されている患者の冠動脈疾患評価や術前冠血行再建をどのように考えるか,またPCI施行後の患者における非心臓手術の周術期管理をいかに行うかは,ますます重要な問題となっている。
本稿では,DESを用いたPCIの現状を概説し,冠動脈疾患患者における非心臓手術に際しての基本的考え方を述べてみたい。
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