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はじめに
わが国における冠動脈疾患患者は年々増加してきており,その治療法も著しく進歩している.特に冠動脈インターベンション(percutaneous cor—onary intervention, PCI)は,器具や技術の進歩により非常な勢いで普及している.しかしながら,PCIは種々の急性期合併症を生じる可能性があり,慢性期には再狭窄という課題も残されている.さらに,PCI治療は高額の医療費を必要とする.したがって,PCIが適正に施行されることは,個々の患者の利益ばかりでなく医療経済上も極めて重要である.
欧米諸国の多くでは,PCIの施設や治療成績を登録・調査する体制が確立している1〜4).一方,わが国においては,日本心血管インターベンション学会が1992年よりPCI件数などの調査を行っている.それによると,1997年には全国412施設でPCIが年間5万8,783件,冠動脈バイパス術(coronary artery bypass grafting:CABG)が1万273件施行された5).また,日本胸部外科学会の調査では,409施設で1万4,542件のiso—lated CABGが施行された6).しかしながら,これらの調査は,主として学会登録施設を調査対象としたものであり,全国横断的な調査になり得ていない.したがって,わが国におけるPCI治療の実施施設や治療成績など,その実態は明らかではなかった.そこで,われわれは,日本の7つの循環器関連学会(日本循環器学会・日本心臓病学会.日本心血管インターベンション学会・日本冠疾患学会・日本胸部外科学会・日本心臓血管外科学会・日本循環器管理研究協議会)の代表者によるJapanese Coronary Intervention Study(JCIS)研究班を組織し,1998年度から3年間,厚生労働省から研究費を得て健康科学総合研究事業としてPCI治療に関する初の全国規模の実態調査を行い,PCI実施施設および実施症例の患者背景・急性期成績・長期予後など,わが国におけるPCI治療の実態を明らかにした.
本稿では,その調査結果をもとに,日本におけるPCI治療の現状とその問題点について概説する7〜9).
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