冠動脈疾患をめぐる最近の話題
日本における冠動脈疾患の現状
山崎 力
1
1東京大学 大学院医学系研究科臨床疫学システム講座
キーワード:
冠動脈疾患
,
危険因子
,
脂質異常症
,
コホート研究
,
死亡率
,
心筋梗塞
,
心臓カテーテル法
,
糖尿病
,
発生率
,
冠血管造影
,
耐糖能障害
,
脳卒中
Keyword:
Coronary Disease
,
Diabetes Mellitus
,
Cardiac Catheterization
,
Myocardial Infarction
,
Mortality
,
Risk Factors
,
Cohort Studies
,
Incidence
,
Glucose Intolerance
,
Coronary Angiography
,
Stroke
,
Dyslipidemias
pp.395-400
発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007325564
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わが国の脳血管疾患死亡率は1965年をピークに着実に減少しているのに対し、心疾患死亡率は過去40年間ほぼ横這いにとどまっている。また、わが国における冠動脈疾患発症率は、1960年代から2000年にかけて有意な時代的変化はない。2000年4月に開始された前向きコホート研究JCAD Studyにおける冠危険因子の保有率は、高脂血症約55%、耐糖能異常または糖尿病が約40%、高血圧症が約58%、肥満が約33%、喫煙が約39%、冠動脈疾患家族歴が約17%で、こういったハイリスク集団における心血管イベント発症率は、62.8/1,000人・年に達した。ただし、危険因子が重積することによるイベントリスクの上昇率はそれほど高いものではなく、3個以上リスクの重複する群のそれ未満の群に対するハザード比は1.26にとどまった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007