徹底分析シリーズ 冠動脈疾患患者の麻酔“Pros & Cons”
冠動脈疾患が強く疑われる患者の術前評価
天木 幹博
1
,
中村 文隆
1
Toshihiro AMAKI
1
,
Fumitaka NAKAMURA
1
1帝京大学ちば総合医療センター 循環器内科
pp.956-962
発行日 2008年10月1日
Published Date 2008/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100454
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社会の高齢化と疾病構造の変化により,冠動脈疾患は年々増加してきている。それに伴い,冠動脈疾患合併症例に対し非心臓手術を必要とする場合が高齢者を中心に増加しつつある。従来から,冠動脈疾患合併患者では,非心臓手術における心血管イベントの発生が高率であることなどが報告されており,術前評価と対処が問題になっている。
周術期の心筋梗塞発症回避や血行動態維持のために,冠動脈疾患のスクリーニングと診断,重症度の評価と適切な管理・治療法に関するガイドライン作成が進められてきた。米国では,ACC/AHAが1996年に『非心臓手術における周術期心血管系評価のガイドライン』を作成し,改訂を重ね,最新版として2007年版1)を作成している。
ACC/AHAガイドラインでは,非心臓手術の緊急性,重症心疾患の有無,非心臓手術のリスクの層別化などから,心血管リスク評価と管理のアルゴリズムを示している(図1)。わが国でも,2003年に日本循環器学会が中心となり『非心臓手術における合併心疾患の評価と管理に関するガイドライン』2)を作成している。本稿では,この二つのガイドラインにそくして,術前評価,対策を進めていくことにする。
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