徹底分析シリーズ 冠動脈疾患患者の麻酔“Pros & Cons”
術前血行再建は冠動脈疾患患者の予後を改善するか?―冠動脈疾患が強く疑われる患者の術前評価,冠血行再建の現状と術前血行再建の是非,ガイドラインの問題
関 誠
1
,
本田 尚典
2
,
片山 勝之
2
Makoto SEKI
1
,
Naofumi HONDA
2
,
Katsuyuki KATAYAMA
2
1癌研有明病院 麻酔科
2手稲渓仁会病院 麻酔科・集中治療部
pp.972-979
発行日 2008年10月1日
Published Date 2008/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100457
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●冠動脈疾患が強く疑われる患者の術前評価
冠動脈疾患のリスクを持った患者に対して適切な管理や処置を施すうえで,術前の患者状態の把握はきわめて重要なものといえる。術前に,
①冠動脈疾患の程度と耐術能の把握
②内科的治療の継続や術前冠血行再建の適否
③周術期における合併症の発生予測
④患者本人や家族への説明とインフォームドコンセント
⑤主治医である外科医との患者,手術のリスクに対する共有感(実際上,最も重要かもしれない)
などをよく検討・考慮し,手術の延期を含めた最終的な判断を下すこととなる。
狭心症,心筋梗塞の既往など,冠動脈疾患の診断がついている症例では,当然のごとく用心をするが,そのような診断がついていない場合,虚血性心疾患診断の最終関門は術前診察を行う麻酔科医となる。
問診では,冠動脈疾患の既往はもちろんだが,胸部症状,冠動脈疾患の危険因子である高血圧,糖尿病,喫煙,冠動脈以外の血管疾患のほか,運動耐用能にも注意を払う必要がある。大切なことは,冠動脈疾患の疑いのある患者を取りこぼさないことである。
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