徹底分析シリーズ 岐路に立つ産科医療:麻酔科医はいかにかかわるか
産科医療の日米比較
小林 肇
1
Hajime KOBAYASHI
1
1ハーバード大学 公衆衛生大学院
pp.410-414
発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100300
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現在マスコミで報道されているように産科の医師は減少し,産科医および分娩を取り扱う施設が大幅に減少している。以前は分娩を取り扱っていた産婦人科クリニックが,分娩の取り扱いをやめ,不妊症などの婦人科医療のみの提供に切り替えているケースが非常に多くなってきている。
この理由として,以前のように一人の産科医が外来から分娩まですべてをカバーするという開業形態ではリスクが大きすぎること,また,近隣の産科医が減少することにより勤務形態がさらに過酷になることなどが挙げられる。クリニックを開業せず,病院で勤務医をしていても,医師としての人生を大きく狂わすようなトラブルに巻き込まれるリスクが急上昇しており,新たに産婦人科を選ぶ研修医も減少している。これらは,人的なリソースに重点を置きすぎていた日本の産科医療システムが,人不足により産科医療提供におけるリスクマネジメントの問題点が顕在化してきていることにほかならない。
このような問題に対して日本とは異なる保険医療システムを持つ米国の医療システムではどのように対処しているのか考えてみたい。
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