メディカルエッセー 『航跡』・34
日米医師ドレスコード比較論
木村 健
1
1アイオワ大学医学部外科
pp.1058-1059
発行日 1999年8月20日
Published Date 1999/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903698
- 有料閲覧
- 文献概要
毎日オフィスに送られて来る山のような情報の中には,大学職員としてセクシャルハラスメントの予防心得や,医療禍誤訴訟に巻き込まれた際の対策なども混じっている.医療訴訟の法延に出るのは被告と限らない.単なる証人として出延する場合でも,相手方の弁護士に相当痛めつけられるのを覚悟せねばならぬ.その対策を詳しく記した小冊子がなかなか興味深かった.
まず渦中の手術や手技に関しては,あらゆる文献に目を通して理論武装し,相手に隙を与えない.出延の前に理髪店に行って,ボサボサ頭を整髪する.髪をきちんと七三に分けると,童顔でも大人びて見え,その道の大御所らしい印象を与える.次に持っているスーツの中で一番高価で仕立てもよく,落ち着いた色,保守的なデザインのものを選んでプロのクリーニング屋にプレスしてもらう.ワイシャツは白,洗いざらしたものでなく番手の高い上質なのをこの際新調する.ネクタイはスーツにマッチした落ち着いた色柄,靴も履き古したバックスキンなどでなく,ピカピカ光る高級に見えるのを選んで履く.上から下までバリッとした身なりで,背筋をすっと伸ばし,相手の眼の奥に焦点を固定して対決するのが肝心である.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.