徹底分析シリーズ 意識下挿管
意識下挿管の適応
中沢 弘一
1
Koichi NAKAZAWA
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 心肺統御麻酔学
pp.108-112
発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100207
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意識下挿管(conscious intubationまたはawake intubation)は気道確保を安全に行うための一つの手段である。しかし,患者にとっても挿管するものにとってもストレスの多い気道確保法である。筆者が麻酔を研修していた20年以上前には,フルストマック患者に対しては意識下挿管が第一選択のように教えられ,患者の快適性よりも安全性を優先することが重視され(果たして本当に安全だったのだろうか?),患者が激しくむせ,血圧や脈拍の上昇する中を悪戦苦闘しながら挿管をしていたように記憶している。
しかし近年,このような野蛮な挿管を行うことは,少なくとも手術室においては,ほとんどなくなった。一方で意識下挿管は,そのようなものとは異なった方向で,以前よりも適応する機会が増えているように思われる。それは意識下挿管のテクニックが向上し,新しい麻酔薬の開発とともに鎮静や気道の麻酔に対する理解が進み,意識下挿管の低侵襲化が進んでいることが一因と考えられる。また,気道確保困難に対するガイドラインが確立されるとともに1~3),気道の評価がより適切に行われるようになり,気道確保困難の予想される症例に対しては安全策として積極的に施行されるようになっていることも挙げられる。
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