症例検討 冠動脈疾患患者の麻酔
三枝病変患者と長時間開腹手術:心血管系の術前評価と麻酔管理を考える
柴﨑 雅志
1
,
中嶋 康文
1
,
溝部 俊樹
1
Masayuki SHIBASAKI
1
,
Yasufumi NAKAJIMA
1
,
Toshiki MIZOBE
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学教室
pp.904-909
発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100193
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症例
77歳の男性。身長173cm,体重51kg。下部胆管癌に対して膵頭十二指腸切除術が予定された。既往歴として,高血圧,糖尿病,閉塞性動脈硬化症(ASO),心房細動および長期の喫煙歴を認め,経口糖尿病薬,β遮断薬,カルシウム拮抗薬,ジギタリス,ワルファリンを内服していた。心エコー図検査では心機能良好で壁運動異常を認めず,胸痛の既往もなかった。
経過
手術予定日までに心筋シンチは施行のめどが立たなかったので,CAG(冠動脈造影)を施行した。結果は重度の三枝病変を認めた(LAD#6~#8に75~90%狭窄,#4PDに90%狭窄,#11に90%狭窄)。血管壁の石灰化が強く,またどの血管も細いため,冠血行再建の適応はなし,とされた。外科医は予定通り手術を行いたいと希望し,麻酔が可能であるか相談を受けた。
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