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特集 SSI診療の最新動向を探る!
Ⅱ.SSI予防の最新エビデンス
整形外科手術のSSI予防に抗菌縫合糸は有用か?
Effect of antibacterial sutures in reducing the risk of surgical site infection
坂 なつみ
1
Natsumi SAKA
1
1帝京大学医学部,整形外科学講座
キーワード:
Antibacterial suture
,
Antimycobacterial suture
,
Antimicrobial sutures
Keyword:
Antibacterial suture
,
Antimycobacterial suture
,
Antimicrobial sutures
pp.497-502
発行日 2025年4月30日
Published Date 2025/4/30
DOI https://doi.org/10.18888/se.0000003377
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手術部位感染(SSI)は外科手術の主要な合併症の一つであり,患者のQOL低下や医療費増加を招く。その予防策として抗菌縫合糸の使用が注目されている。特に,トリクロサンを含有する縫合糸は,細菌のバイオフィルム形成を阻害し,SSIリスクを低減することが期待される。PDSプラスやバイクリル プラスなどが広く使用され,世界保健機関(WHO)や英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでも推奨されている。整形外科領域ではRCTの結果は限定的ではあるものの,外科手術全般のメタ解析では抗菌縫合糸の使用によりSSIリスクが約30%低下することが示されている。近年の研究では,手術の種類や適用範囲によって効果が異なる可能性も指摘されているが,多くの試験で有害事象は報告されておらず,安全性が高いことが確認されている。今後さらなる研究が進むことで,より確実なエビデンスが蓄積されることが期待される。

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