徹底分析シリーズ NSAIDsを知る・使いこなす
術後鎮痛法におけるNSAIDsの位置づけ
奥田 泰久
1
,
新井 丈朗
1
Yasuhisa OKUDA
1
,
Takeo ARAI
1
1獨協医科大学越谷病院 麻酔科
pp.674-678
発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100141
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術後痛に対して,過去どれだけ多くの人材と時間が費やされたことか。その甲斐があり,疼痛機序の解明は進み,さまざまな薬物が開発され(その投与期間は短いにもかかわらず,米国では術後鎮痛に対する治療薬の売上高は,他の慢性・癌性疼痛疾患を凌ぐといわれる),PCAなどの投与法の工夫もなされてきた。しかし,その努力にもかかわらず,いまだ術後に疼痛で苦しんでいる患者が存在し,現在の術後鎮痛は理想と程遠いと考えている医師も少なくはない1)。
アスピリンをはじめとするNSAIDsは,歴史的にも世界的にも,術後痛に対して最も多く用いられてきた除痛手段である。しかし,NSAIDs単独ですべての術後痛を十分に抑制できず(例えば,NSAIDs単独鎮痛下での手術は不可能),中手術以上だと他の手段と併用しなければならない。以前は術後痛に対するNSAIDsの使用は,外科医の裁量に任せられたことが多かったが,近年,より安全で効果的に術中から使用可能な静脈投与用NSAIDsの登場により,麻酔科医もその使用にかかわる機会が多くなってきた。ここは一つ,自らの薬籠に加えない手はない。
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