徹底分析シリーズ NSAIDsを知る・使いこなす
COX-2阻害薬の位置づけ
森田 育男
1
,
小野寺 光江
2
Ikuo MORITA
1
,
Mitsue ONODERA
2
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 分子細胞機能学
2東京医科歯科大学歯学部口腔保健学科 地域・福祉口腔保健衛生学講座
pp.666-673
発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100140
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1982年プロスタグランジン(PG)分野でSune K Bergstrom, Bengt I Samuelsson, John R Vane博士らがノーベル医学・生理学賞を受賞した際,われわれPGを研究していた人間は,研究上で大いに悩んでいた。その理由の一つが,シクロオキシゲナーゼ(COX)に対するグルココルチコイドの作用と抗炎症作用の解離であり,さらにヒツジ精囊腺を用いたin vitroの結果とin vivoの結果との解離であった。
今となれば,COXが一つの酵素であると考えていた矛盾であり,COX-1とCOX-2の二つのアイソザイムが存在することがわかっていれば,グルココルチコイドがCOX-2の誘導を抑制すること,精囊のCOX-1と炎症時のCOX-2とは異なった反応をしても当たり前であり,悩む必要もなかったことである。とは言え,このCOX-2の発見はノーベル賞受賞から10年も先の1991年のことであった。COX-2の発見からCOX-2選択性阻害薬の開発,医療現場への浸透の速さは目を見張るべきものであった。
しかし,この浸透の速さが後述するCOX-2選択的阻害薬の問題を引き起こしたと言っても過言ではない。本稿では,これらの背景のもと,COX-1とCOX-2の違い,COX-2選択的阻害薬と従来のNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)との違いとその使用における問題点などについて述べる。
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