症例検討 モニタリングをめぐるトラブルとその対処法1
中心静脈カテーテル:内頸静脈穿刺を試みたが,本穿刺で引けてきた血液が静脈血か,動脈血か肉眼的には判別できない。
圧トランスデューサが使えなければ,延長チューブで即席マノメータを作成!/血液ガス分析か,圧トランスデューサで測定。しかし,超音波ガイド下穿刺による動脈誤穿刺の回避が基本
井上 洋
1
,
徳嶺 譲芳
2
Hiroshi INOUE
1
,
Joho TOKUMINE
2
1仙台厚生病院 麻酔科
2沖縄県・北部地区医師会病院 麻酔科
pp.276-279
発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100056
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意外と多い動脈穿刺の発生頻度
内頸静脈穿刺における動脈穿刺の発生頻度は6.3~9.4%という報告1)があり,意外と多い合併症である。通常の患者であれば,動脈穿刺した際には明らかに“赤い”血液が“勢いよく”シリンジ内に返ってくる。その時は動脈穿刺を反省しつつ,圧迫止血後に仕切り直しとなる。
しかし,低酸素・低血圧の患者では“赤くない”,また“勢いのない”血液が返ってくる。また,三尖弁閉鎖不全症や心タンポナーデの患者などでは,赤くはないが勢いのよい血液の逆流をみることになる。ところが,そういう患者にかぎって,早く中心静脈路を確保したい。そこでどうするか。
一番確実なのは,最初から超音波ガイド下で穿刺して確実に内頸静脈にカニュレーションすることであろう。しかし,それでは答えにならないし,すべての施設に超音波診断装置が備えられているわけではない。
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