検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
生体計測の基礎2—生体計測用トランスデューサ
池田 研二
1
1東京大学医学部医用電子研究施設
pp.133-138
発行日 1985年2月1日
Published Date 1985/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203258
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トランスデューサとは
生体からいろいろな情報を取り出して調べることは,生理学など基礎医学での研究のためにも,臨床医学での診断や治療のためにも極めて基本的に重要なことである.臨床検査が後者の目的を遂行するものであることは,いうまでもない.
生体からの情報を提供するものとして,実にいろいろな形態の現象が観測される.心電図や脳波,筋電図のように,微弱な電気現象として観測されるものは,体表面に電極をはり付け,生体の起電力を導出して増幅してやればレコーダで記録紙上に波形を描くことができる.その他の現象,例えば変位,振動,圧力,流量,温度といったような現象に対しては多少工夫を要する.もし電気現象と同様にエレクトロニクスを用いて時間経過をレコーダに描記するとすれば,まず初めにこれらの物理現象を,例えば微弱な起電力の変化といった電気現象に変換してやる必要がある.ひとたび電気現象に変換してしまえば,あとは心電図などと同様な扱いで増幅したり,記録したりできるであろう.このためには測りたい種々の現象をまず電気現象に変換する部分が必要で,これをトランスデューサ(変換器)と呼んでいる.検体中の酸素や炭酸ガス濃度,pH,その他のイオンなどを測るためにも電極が利用される.これらも広い意味ではトランスデューサであるが,電極も含めた広義のトランスデューサをしぼしばセンサと呼んでいる.
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