徹底分析シリーズ 脊髄くも膜下麻酔の謎に迫る
巻頭言
樋口 秀行
1
1東京女子医科大学 麻酔科学教室
pp.111
発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100022
- 販売していません
- 文献概要
脊髄くも膜下麻酔がヒトに施行されたのは1898年とされているので,脊髄くも膜下麻酔の歴史はかれこれ110年となる。その間,使用される局所麻酔薬は,コカインからプロカイン,テトラカイン,リドカイン,ジブカイン,ブピバカイン,ロピバカインへと変化し,使用される穿刺針もcutting針からnon cutting針へと発展してきた。そして今後も帝王切開術などの麻酔法として当分の間は生き続けると思われる。
このように息が長く,未来もある麻酔法である脊髄くも膜下麻酔だが,日本では長い間軽んじられてきた感がある。手技が簡単なためか,診療報酬が全身麻酔に比べ極端に安価であることや,非麻酔科専門医による施行の多さなどが原因かもしれない。しかし,時に心停止まで引き起こす麻酔法であり,決しておろそかにできない麻酔法であることは言うまでもない。また,脊髄くも膜下麻酔には,長寿であるがゆえか,間違ったレジェンドが代々と伝えられてきた。
今回の徹底分析では,脊髄くも膜下麻酔の不人気な理由の解明や,脊髄くも膜下麻酔にまつわる誤解を明らかにし,麻酔のプロとして知っておくべき知識を整理する。
Copyright © 2008, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.