Japanese
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解説
シナプス受容体感受性の調節—シナプス伝達調節機構についての考察
Modulation of the sensitivity of postsynaptic receptors: A new concept on the modulation of a synaptic transmission
纐纈 教三
1
,
赤須 崇
1
Kyozo Koketsu
1
,
Takashi Akasu
1
1久留米大学医学部第2生理学教室
pp.320-327
発行日 1983年8月15日
Published Date 1983/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904537
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本論文は,シナプス伝達の調節機構について新しい考え方を提起した。
ある1つの単一シナプス伝達により発生するシナプス後電流(PSC)の大きさは,この伝達を行っている物質以外の種々の伝達物質の作用により調節(modulation)されている。この調節には従来知られているシナプス前調節のほかに,シナプス後調節というものを考えねばならない。シナプス前調節とは,シナプス前膜からの伝達物質の放出量の調節であり,ここでのシナプス後調節とはシナプス下膜の感受性の調節という新しい考え方による調節様式である。
ニコチン性伝達の場合,シナプス前調節によりシナプス前膜からのAChの放出量が調節され,シナプス後調節によりシナプス下膜のニコチン性受容体の感受性が調節されている。このニコチン性受容体感受性に対する伝達物質,例えばCA,5-HT,ペプタイドなどの調節作用の機序は,薬理学的に知られているニコチン性伝達のblocker,即ちAChのニコチン性作用に対するantagonistの作用機序に類似している。そこで,ニコチン性ACh-受容体の感受性を抑制する伝達物質を生体内antagonist(biogenic or endogenous antagonist)と定義したい。
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