Japanese
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特集 脳のシンポジウム
主題:ニューロンをめぐつて
シナプスの伝達物質
On the Transmitter Substances
竹内 昭
1
Akira Takeuchi
1
1順天堂大学医学部生理学教室
1Department of Physiology, School of Medicine,Juntendo University
pp.67-71
発行日 1966年3月25日
Published Date 1966/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904264
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化学的シナプスに関与している伝達物質の中で,現在までにもつとも確実とされているものは,脊椎動物の神経骨格筋接合部におけるアセチルコリンであり,それについで確実性の高いものは交感神経から分泌されるアドレナリンもしくはノルアドレナリンであろう。その他の多くのシナプスにおいては,膨大な研究により幾つかの物質もしくは抽出物質が伝達物質として想定されているが,現在までのところ確定しているものはないといつても過言ではない。その主な原因はこれらのシナプスが主として中枢神経系に存在すること,そして中枢神経系のシナプスにおける伝達物質の研究はその構造の複雑さによつて困難にされているためと考えられる。それでまずはじめにある物質を伝遠物質と同定するために必要な条件について簡単に考えてみよう。これについてはすでに多くの人々によつて考察が行なわれているが1)2),まず大同小異であり,人によつてその強調する点が異なるというに過ぎない。いわゆる伝達物質の満すべき条件として挙げられているものについて注意すべきことは,これがcholinergicのシナプスを墓準として得られたものであることである。それゆえこれらの条件をすべてみたす伝達物質は現在までのところアセチルコリンのみである。そしてこれらの条件が絶対なものでない以上,これがただちに他の伝達物質の満たすべき必要にしてかつ十分な条件であるかどうかについては疑問がある。
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