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実験講座
マイクロマニプレイターによるマイクロインジェクション
Manual microinjection
筒井 祥博
1
,
佐賀 信介
2
Yoshihiro Tsutsui
1
,
Shinsuke Saga
2
1浜松医科大学実験実習機器センター
2名古屋大学医学部病理学教室
pp.328-333
発行日 1983年8月15日
Published Date 1983/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904538
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生きている培養細胞の核や細胞質内へ生体高分子であるDNA,RNA,蛋白質等を注入する方法が広く応用されつつある。近年,遺伝子工学の発展によりウイルスや細胞のDNAを新たに細胞の外から導入して,その細胞の遺伝形質や表現形質を変化させることが出来るようになった。この方法によって導入した遺伝子の生物学的な機能を知ることが出来,またある特定の遺伝子の発現機構の研究にも利用されている。遺伝子の細胞内への導入の方法には,①トランスフェクションと,②マイクロインジェクションがある。それぞれ目的によって利点と欠点を持っている。ガラスのマイクロカピラリーを直接細胞質や核に挿入して目的とする物質を注入する方法は,注入した物質の細胞への早期の影響をみるのに適している。1976年Graessmannら1)は,simian virus 40(SV40)の早期遺伝子に対するcRNAをG0期で細胞増殖が停止している細胞にマイクロインジェクションして,T抗原が出来ることと,細胞のDNA合成が刺激されることを直接確認した。これが,培養細胞に遺伝物質を注入して,それが発現されることを確認した最初である。その後,T抗原そのものを注入したり,SV40の早期遺伝子部分がクローン化されたものを注入しても機能が発現されることが確められている。
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