Japanese
English
総説
味受容物質と受容器電位発生機構
Taste receptor molecule and mechanism of generation of taste receptor potential
栗原 堅三
1
,
加茂 直樹
1
,
三宅 教尚
1
,
小畠 陽之助
1
Kenzo Kurihara
1
,
Naoki Kamo
1
,
Michihisa Miyake
1
,
Yonosuke Kobatake
1
1北海道大学薬学部
1Faculty of Pharmaceutical Sciences, Hokkaido University
pp.80-93
発行日 1973年4月15日
Published Date 1973/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902950
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
味覚受容は,つぎのような諸過程よりなる。まず味物質が舌に与えられると,味物質は味細胞膜表面に吸着し,これに伴つて味細胞に受容器電位が発生する。この受容器電位は,味細胞に接続している味神経の末端に伝えられ,味神経にインパルスを引き起こす。味神経のインパルスは,大脳の味覚領に伝えられ,われわれははじめて味を感ずる。以上の諸過程のうち,受容器電位が味神経の末端に伝達されるまでの過程を味覚受容の初期過程と呼ぶ。
本稿で筆者らは,とくに味覚受容の初期過程を中心に,分子レベルでの受容機構を論じてみたい。味覚受容の初期過程に関する研究の現状は,同じ感覚生現学の分野である視覚の研究に比べると,とくに分子的機構の研究面で著しく立ら遅れている。たとえば,視覚の分野では早くから光受容物質が同定されたのに対し,味覚の分野では味物質に対する受容体の探索がようやくはじめられた段階である。それだけにまた逆に,味覚受容のメカニズムの研究には,近い将来新しい何かが生まれるかもしれないという夢があるともいえる。
Copyright © 1973, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.