Japanese
English
特集 味と匂いの脳科学
Ⅰ.味蕾・嗅上皮から脳への神経回路と情報伝達
味細胞—味受容および味覚識別の第一段階を担う上皮感覚細胞
Taste receptor cells:Epithelial sensory cells responsible for peripheral taste coding
松本 一朗
1
Matsumoto Ichiro
1
1Monell Chemical Senses Center
1Monell Chemical Senses Center
キーワード:
味細胞
,
基本味
,
味覚受容体
,
味覚識別
,
コーディング
Keyword:
味細胞
,
基本味
,
味覚受容体
,
味覚識別
,
コーディング
pp.287-292
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.037095310760040287
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
食物を摂取する際に生じる感覚である味覚は,体内に摂取する食物を取捨選択する役目を果たしている。味覚という言葉には2通りの解釈があり,フレーバー(咽頭から鼻腔に抜けていく呼気により惹起される嗅覚)や香辛料成分(トウガラシのカプサイシン,ミントのメントールなど)による感覚も広義に味覚と称することがある。これらの感覚はそれぞれ嗅細胞,一般体性感覚神経細胞により受容されて生じる。一方,甘味,苦味などに代表される狭義の味覚は,口腔咽頭上皮組織に分布する味蕾という構造体内に存在する化学感覚細胞(味細胞)により受容される。ここでは狭義の味覚のみを対象とし,脊椎動物における味覚受容の分子・細胞機構について,今日の共通理解と残された幾つかの問題について概説する。

Copyright © 2025, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.