主題 免疫
免疫における諸問題について
山本 正
1
Tadashi Yamamoto
1
1東京大学伝染病研究所
pp.210-216
発行日 1965年10月15日
Published Date 1965/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902642
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
先般もある老大家に"君たちは今,何がしたいのか"と問われたときに,私は答えたものであつた。"少なくとも私個人にしてみれば,こんな会合なんかに引張り出されるより,屈託なく実験を続けてみたい"と。夏休みになつて色々なお役目から解放され,喜んで地下室の一角に閉じこもつていると,またまた原稿執筆の督促である。他でもない江橋教授のご依頼でもあり,引受けることになつてしまつたが,お断りしきつてしまえばよかつたと悔やまれる。どうしてこういうことになつてしまうのかと考えてみたが,おそらくある友人が私に告げた言葉が案外私を支配しているらしいことに気づく。"教授て奴はもつと他人のために働かねばならぬ。"書店の攻勢は用捨なくここをついてくる。岐阜の鵜飼よろしく安くはきださせることを目論む。東洋には面壁十年ようやく説法にたつ式の経済があつたはずだが,どれもこれもが企業規模を大きくし,同じような企画のもとに,いらずもがなの書籍を氾濫させているようだ。書く方も書かせる方も考えなおさなければならない時機ではあるまいか。
今回の企画には次のような10項目の問題点を書きよこしている。
Copyright © 1965, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.