Japanese
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特集 第9回脳のシンポジウム
主題:神経免疫疾患
自己免疫の基礎的諸問題
Basic problems on autoimmunity
北川 正保
1
Masayasu KITAGAWA
1
1大阪大学医学部癌研究施設
1Institute for Cancer Research, Osaka University Medical School
pp.1015-1019
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903561
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I.はじめに
生体は原則として自己を構成する成分に対しては免疫応答immune responseを示さない。これは生体は自己selfと非自己not-selfの成分を識別して,非自己の成分を抗原刺激として受け取り種々の型の免疫反応をもって応答するが,自己の成分に対しては応答し得ない状態,すなわち免疫寛容immune toleranceの状態に陥っているからだと説明されている。しかしこの関係は必ずしも絶対的なものでない。条件次第によっては非自己の成分に対して免疫寛容が成立して免疫応答を示し得なくなることがあるとは逆に,自己の成分に対する免疫寛容が破れて免疫応答を示すようになることがある。自己の成分に対する免疫寛容が破れて自己免疫が成立する要因としては抗原が関与する因子と生体の免疫応答性が関与する因子が考えられる。本稿ではそれらの機序に関して最近の免疫応答についての知見を中心にして考察を加えてみたい。
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