トピックス
カーボンナノチューブ電極
後藤 正男
1
1東京工科大学応用生物学部
pp.771-773
発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102516
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■カーボンナノチューブを取り巻く全体像
近年,カーボンナノチューブが電子,電気,材料,エネルギー分野などで新しい素材として注目されている1).しかし,電極素材としては,その可能性が十分に明らかにされているとは言えない.白金やグラッシーカーボンなどの従来の電極と比較して,どのような特徴をもつ素材なのか,不明の状態と言える.
カーボンナノチューブはカーボンでできた直径が“ナノ”メートルの“チューブ”状の物質である.グラファイト層を丸めてつなぎ合わせたような構造を有し,グラファイトと同じπ電子を有している.このため,カーボンナノチューブの電気的な特性が発現する.カーボンナノチューブは,多様な構造をもっており.グラファイト層が1枚だけのもの(単層ナノチューブ)と複数枚を同心円状に重ねたもの(多層ナノチューブ)が存在する.多層ナノチューブは,一般的には内部に中空構造を有している中空型(図1)と,竹のように途中に節のある竹型のカーボンナノチューブがある(図2).竹型構造のものは構造内にクラック(C-C結合が切断している部分)を有し,電子が移動しやすいと言われている.
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