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特集 ゲノム全解読とポストゲノムの問題点
ポストゲノムシークエンス時代の霊長類研究
Comparative genomics of primates
黒木 陽子
1
,
藤山 秋佐夫
2
Yoko Kuroki
1
,
Asao Fujiyama
2
1理化学研究所ゲノム科学総合研究センターゲノム構造情報グループ
2国立情報学研究所学術研究情報研究系
pp.566-571
発行日 2002年12月15日
Published Date 2002/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902451
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ヒトゲノム計画は,われわれの全遺伝情報が書き込まれたヒトゲノムの塩基配列を全て決定し,一連の配列に含まれる生物学的意味を解読しようという壮大な計画である。世界各国の研究者が知識と技術を寄せ合って1990年代初頭に始められたこの計画は,協調性と開放性をキーワードに進められていることが大きな特徴である。この開放性のゆえに,他の生物についても,まずゲノムの解析から研究の全体をとらえなおすことが一般化するなど,ライフサイエンス研究の全般に研究スタイルそのものの変革をよび起こす,大きな影響を与えている1)。
ゲノムの構造情報を利用できる生物種の範囲が拡大するにつれ,DNAの配列情報から生物学的意味を抽出あるいは発見する手法として,さまざまな種のゲノム構造を互いに比較し,進化の過程で保存され種を通じて共通に見られる塩基配列や遺伝子の構造,あるいは特定の生物種にのみ認められる配列や種間で多様性が認められる構造情報を抽出し,それに基づいた解析研究を行う手法が重要な位置を占めるようになった。これが,比較ゲノム解析とよばれる手法で,A, T, G, Cの各塩基の並びから,われわれが必要とする生物学的意味のある配列を見出すための強力な解析法となっている。
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