特集 動物の行動機能テスト―個体レベルと分子レベルを結ぶ
3.マウス・ラツト
嗅覚テスト
安東 潔
1
1(財)実験動物中央研究所前臨床研究部
pp.486-487
発行日 1994年10月15日
Published Date 1994/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900801
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目標
嗅覚の実験においては質的に異なった無数の嗅覚刺激の中からいずれかを選択して,これを一定の均質な条件下で提示する必要がある。これは視聴覚刺激の提示の場合に比べて容易ではない。そのためもあってか動物での嗅覚に関する行動実験は多いとはいえない。しかし,生まれたばかりの動物が,母乳を獲得するためにも,また母親の体温により保護を受けるためにも,嗅覚は触覚とともに重要な感覚として動物の生存に必須の役割を果たしていると考えられる。とりわけ視聴覚が十分に発達していない段階では嗅覚の役割は大きいに違いない。
さらに,成熟動物,たとえばラットなどは,新しい環境での探索行動中に嗅ぎまわり行動を示し,またイヌも同様の行動を示す。ヒトも花のかおり,香水や香料を楽しむし,日常生活や社会生活の中での嗅覚の占める役割は低いとはいえない。生体にとって,このような意味をもつ嗅覚に関する動物の行動実験について以下に述べることとする。
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