特集 現代医学・生物学の仮説・学説
5.神経科学
システム制御論と脳
伊藤 宏司
1
,
伊藤 正美
2
1豊橋技術科学大学工学部情報工学系
2名古屋大学工学部情報工学科
pp.564-565
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900646
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概説
制御工学は,さまざまなシステムに共通して現われてくる「制御」という概念を追求する学問である。N.ウィナーがその著「サイバネティクス」のなかで指摘しているように,生体システムにおける最も基本的な制御概念は「フィードバック制御」である。
フィードバック制御の目的は,予測できない外乱のもとで,出力(制御量)を希望の値(目標値)に一致させることである。普通,外乱は直接測定できず,外乱の影響は制御量を観測してはじめて知ることができる。したがって,外乱の影響を制御するには,目標値と制御量の差(偏差)にもとづいて操作信号(制御指令)を調節し,それによって制御対象にはたらきかける必要がある。
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