特集 神経細胞特異的な翻訳制御:鍵を握るRNA結合タンパク質/mRNA輸送/non-coding RNA
神経可塑性と学習記憶における翻訳調節
武井 延之
1
1新潟大学脳研究所 分子神経生物学
キーワード:
mRNA
,
シナプス
,
遺伝子発現調節
,
学習
,
記憶
,
神経可塑性
,
神経経路
,
脳疾患
,
リン酸化
,
タンパク質生合成
,
Eukaryotic Initiation Factor-2
,
Eukaryotic Initiation Factor-4F
,
Mechanistic Target of Rapamycin Complex 1
Keyword:
Mechanistic Target of Rapamycin Complex 1
,
Brain Diseases
,
Gene Expression Regulation
,
Memory
,
Learning
,
Neural Pathways
,
Neuronal Plasticity
,
Phosphorylation
,
RNA, Messenger
,
Synapses
,
Protein Biosynthesis
,
Eukaryotic Initiation Factor-2
,
Eukaryotic Initiation Factor-4F
pp.687-691
発行日 2012年5月22日
Published Date 2012/5/22
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
脳高次機能と言われる学習や記憶は神経回路の機能的再編成によって起こる.この過程の細胞レベルでの変化がシナプス可塑性あるいは神経可塑性と呼ばれるものである.この可塑的変化に新規タンパク質合成を必要とするものが知られている.タンパク質合成を制御しているのは細胞内でのmRNA翻訳機構であり,細胞外からの刺激によって翻訳因子や翻訳調節因子のリン酸化などによりmRNA翻訳のレートを制御している.本稿では,神経可塑性や学習記憶過程のパラダイム,さらには学習・記憶障害,精神遅滞を伴う脳疾患における脳あるいは神経細胞での翻訳調節についてこれまでの知見を整理し,その重要性について考えていく.
Copyright © 2012, Gakken Medical Shujunsha Co., Ltd. All rights reserved.