特集 免疫チェックポイント分子による生体機能制御
特集「免疫チェックポイント分子による生体機能制御」によせて
宮坂 昌之
1
1大阪大学国際共創大学院学位プログラム推進機構
pp.170-171
発行日 2019年6月15日
Published Date 2019/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200979
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昨年暮れ,米国のジェームズ・P・アリソン博士(テキサス大学)とわが国の本庶佑博士(京都大学)にノーベル生理学・医学賞が与えられた。免疫チェックポイント経路の阻害によりがんが免疫学的に攻撃,排除され得ることを明らかにしたことがその業績である。
免疫チェックポイント経路とは,外界からの抗原やからだの自己成分に対する過剰な免疫応答を抑制する分子経路であり,免疫系の恒常性維持に重要な役割を果たす。アリソン博士はCTLA-4,本庶博士はPD-1というT細胞上のチェックポイント分子の存在を明らかにした。CTLA-4,PD-1はともに,相手の細胞膜上にあるリガンド分子と結合することにより,T細胞の機能に“ブレーキ”をかけ,一方,この結合を解除するとT細胞の働きが戻り,少なくとも一部のがんについては,T細胞が免疫学的にがん細胞を排除できるようになる。
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