特集 炎症性腸疾患外科治療のcontroversy
特集によせて
渡邉 聡明
1
Toshiaki WATANABE
1
1帝京大学医学部外科
pp.580
発行日 2009年5月20日
Published Date 2009/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102551
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免疫調整剤や血球除去療法,あるいは抗体療法などの導入によって炎症性腸疾患に対する内科的治療は進歩を続けている.これらの新たな治療法により,従来は外科手術の適応と考えられたような病態でも内科的治療で寛解導入が得られたとする報告も行われている.しかし,これらの内科的治療を駆使してもコントロールが不能な病態が存在するのも事実であり,こうした病態には現在でも外科治療が必要となる.
外科治療においても腹腔鏡下手術をはじめとする低侵襲手術の導入などの進歩がみられている.現在では潰瘍性大腸炎あるいはクローン病に対する各種の術式も確立され,より安全で,より低侵襲を目指した治療が行われるようになっている.しかし一方で,潰瘍性大腸炎やクローン病で外科手術の適応となる症例では,術前にステロイドが大量投与されていたり,大量出血などによって全身状態が不良である場合も少なくない.こういった状況を総合的に判断して術式が決定されるが,実際に行われる術式の詳細に関しては必ずしも統一されておらず,同じ病態の症例に対しても異なった術式あるいはアプローチ法が用いられているのが現状である.
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