特集 体液カルシウムのホメオスタシス
特集によせて
藤本 守
1
Mamoru Fujimoto
1
1大阪医科大学生理学教室
pp.93-94
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904969
- 有料閲覧
- 文献概要
体液のホメオスタシス(恒常性維持)は,体液量(Iso‐volemia),浸透圧(Isosmosis),イオン性状(Isoionia),pH(Isohydria)という四本柱で組立てられている。その生理学的重要性は,すでに一世紀以上も前にフランスのClaude Bernard(1813〜1878)によって指摘され,その概念は今世紀初頭に米国のWalter Cannon(1871〜1945)によって全世界的に知られるようになった。体液研究が進み,その知見が実際医療における体液管理の中に導入されるに及んで,人類の寿命も著しく延びた。
体液イオンの研究の主な対象を歴史的に眺めると,今世紀の半ばを敢えて「ナトリウムとカリウム時代」とすれば,この最後の四半世紀は,まさに「カルシウム時代」といっても過言ではないであろう。最近は,とくに免疫学や生化学の急速な進歩に伴い,カルシウムが,「細胞機能の万能調節者(Universal Regulator)」としての地位を不動のものにした感がある。今日,それほどカルシウムへの一般の関心が高まっており,このたび本誌において,「体液カルシウムについての特集」が企画されたことはまさにタイムリーといえる。
Copyright © 1987, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.