特集 直腸癌治療―最近の進歩と動向
特集によせて
畠山 勝義
1
Katsuyoshi HATAKEYAMA
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科
pp.294
発行日 2009年3月20日
Published Date 2009/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102490
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結腸癌の手術治療とは異なり,直腸癌の手術治療は骨盤内に位置しているという解剖学的特異性から,機能温存(肛門機能,排尿機能,性機能)やquality of life(以下,QOL),局所再発,長期予後などの様々な問題が取り上げられ,最近の消化器外科系の学術集会では必ずと言ってよいほどテーマとして取り上げられている.さらに,直腸癌の治療ほど欧米とわが国の間で,またわが国においても施設間で治療方針が大きく異なっている疾患もほかにないように思われる.これは,わが国の外科手術の優位性に基づくものであろうが,一方では放射線腫瘍学に携わる医師や腫瘍内科医の絶対数の不足なども背景にあるように思われる.そして,肛門機能温存や排尿・性機能温存をはじめとしたQOL改善の観点と治療の根治性および長期予後の観点から様々な立場での治療が行われているのが現状である.
そこで本特集では,直腸癌治療の最近の進歩と動向をテーマに取り上げた.近年の進歩としては,第1に手術手技的進歩が挙げられよう.Internal anal sphincter resection(以下,ISR),さらにはexternal and internal anal sphincter resection(以下,ESR)を施行し,かつ肛門機能を温存しようとする術式である.第2には化学療法や放射線療法の進歩・向上がある.
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