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あとがき
松田 道行
pp.168
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200977
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免疫となにそれ,といえば胡散臭い研究の代表と思われていた時代もありました。昨年,本庶先生とともにノーベル賞を授与されたJames Allison先生からも抗腫瘍免疫の話を受け入れてもらうのには苦労されたと伺っています。しかし,本特集で取り上げているように免疫による生理機能や感染症以外の病態制御はいまや最先端の研究分野です。交感神経が免疫を活性化するという話を聞くと,「気合が入ってないから風邪をひく」という話を精神論と一笑に付していたのも反省しないといけないようです。一方,広告をみていると,「膝が痛ければグルコサミン」,「いやグルコサミンよりもずっと関節に多いコラーゲン」とか,「風邪には塩化リゾチーム」だとか,まことしやかなサプリや薬を結構名の通った製薬企業が発売しています。腸から吸収するときはただのアミノ酸だろうなどと考える天邪鬼には効果もないでしょうが,そんなことだからブレークスルーを出すような研究も思いつかないのかもしれないと反省しきりです。
本号はコーディング領域に転写活性調整機能がある話や,コウモリのナビゲーションシステムも取り上げています。子どものころに,砂を投げると超音波が乱れてコウモリが落ちてくるという他愛も無いうそを信じて走り回った夕方の光景を思い出しました。夢のある話をご執筆いただいた先生方に改めて感謝いたします。
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