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あとがき
松田 道行
pp.288
発行日 2024年6月15日
Published Date 2024/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201870
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昔々,国立予防衛生研究所で研究員をしていたころ,科学技術庁の事務次官が視察にやってきて,「今度,1,000億円で放射光施設を作ったんだよ,君も使ってよ」みたいな話をされました。「うわっ,なんちゅう巨額!」とびっくりしたのですが,SPring-8のその後の活躍をみれば安い買い物でした。同じ場所にSACLAもできて,今度も大丈夫だろうかと見守っておりましたが,本特集を読んでいただければわかります通り,費用に見合う十二分な成果が出続けています。このビッグプロジェクトを成功に導いたゲストエディターの岩田先生に敬意を表したいと思います。生物学者は,物理学者と比して,国家予算でないと賄えないような大型機器を動かすプロジェクトに慣れておらず,幅広いコミュニティからの理解を得るのが難しいように感じます。本特集では構造生物学に資する光操作・化学遺伝学技術も幅広く取り上げられており,ビッグプロジェクトがもたらす裾野効果についてもよく理解できました。乏しい科学技術予算をどう割り振るのかというのは常に頭の痛い話ですので,他の研究領域の研究者を巻き込んでいく努力も必要であると感じました。最後になりましたが,ご多忙のところをご寄稿いただいた諸先生方に御礼申し上げます。
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