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あとがき
松田 道行
pp.284
発行日 2022年6月15日
Published Date 2022/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201519
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私事で恐縮ですが,新学期になり病理総論の講義が始まりました。毎年最初の授業で,教室を創った藤浪鑑教授の話をします。藤浪教授は日本住血吸虫症撲滅の功績で幾多の賞の栄誉に浴されました。しかし,その功績はいまやほとんど忘れられ,「皆の興味を持たない分野に開拓の余地あり」として始めた藤浪肉腫ウイルスの研究が,いま,多くの研究者に知られているという歴史は,研究というものの本質を理解するうえで大事なことだと思うからです。リソソームの研究もまた長い「皆の興味を持たない分野」である時代を経て,脚光を浴びています。ほとんどありとあらゆる生物学的事象に絡んでいると言ってもよいくらいでしょう。「皆の興味を持たない分野」が脚光を浴びはじめるのは下剋上のようなわくわく感があって研究の醍醐味を感じさせてくれます。
最後になりましたが,ご多忙中のところをご寄稿いただいた諸先生方にお礼申し上げます。また,若返りへの夢を抱かせる研究を紹介いただいた城村先生,荒谷先生,中西先生,哺乳類の顔の進化を解説いただいた東山先生,連載講座を執筆いただいた中嶋先生,望月先生にも改めてお礼申し上げます。
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