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あとがき
松田 道行
pp.194
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201849
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「士別れて三日なれば,即ち更に刮目して相待すべし」。亜鉛,銅,鉄代謝というと何かしら古い学問のような気がしておりましたが,近年蓄積された生体金属に関する新しい知見に圧倒されました。恥ずかしながら,全タンパク質の1割に亜鉛が含まれるとは知りませんでしたし,金属イオンのシャペロンがこんなにあるとも全く認識しておりませんでした。更に,自然界では使われない鉛,ルビジウムなどの遷移金属を使った非天然化学反応など,新しいバイオ技術の展開も目覚ましいものがあります。また,野田先生には「生体の科学賞」の授賞対象となったナトリウムイオン検知機構と高血圧に関するこれまでの卓越した業績をまとめていただき,生体と多種多様な金属イオンとの関わりを網羅的にかつ詳細に解説いただいた特集号になったと自画自賛しております。退職間際になってこういう話をするのは忸怩たる思いですが,専門外の分野はやっぱり日本語の総説を読むほうが楽しく頭に入るとつくづく思います。本特集を頑張って宣伝したいと思います。
最後になりましたが,ご多忙中にもかかわらずご寄稿いただいた諸先生方,AAVベクターの動向を解説いただいた平井先生にも改めてお礼申し上げます。欧米ではウイルスベクターの作製を請け負う研究機関が幾つかあります。群馬大学のウイルスベクター開発研究センターの将来も楽しみです。
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