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特集 古典的代謝経路の新しい側面
Lands回路と肺サーファクタント脂質代謝
Lands' cycle and pulmonary surfactant lipid metabolism
原山 武士
1
,
清水 孝雄
1,2
Harayama Takeshi
1
,
Shimizu Takao
1,2
1国立国際医療研究センター研究所 脂質シグナリングプロジェクト
2東京大学大学院医学系研究科 リピドミクス社会連携講座
pp.321-325
発行日 2014年8月15日
Published Date 2014/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101632
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生体膜や肺サーファクタントの主成分であるグリセロリン脂質のアシル基組成は組織や細胞種,正常時や病態時で異なり,その様々な機能に影響すると考えられている。リン脂質のアシル基多様性の形成に重要な働きを持つリゾリン脂質アシル基転移酵素群(lysophospholipid acyltransferases;LPLATs)をコードする遺伝子の多くが近年同定された。これにより,リン脂質への多価不飽和脂肪酸の蓄積や肺サーファクタント脂質の合成に関与すると考えられていたLands回路の分子レベルでの理解が大きく進み,この回路の意義も見直されるきっかけとなった1)。Lands回路の理解が今後,様々な病態時にみられるアシル基組成の異常と疾患の関連を説明できるようになると期待される。本稿ではLPLATの分子同定によってLands回路の理解がどのように進んだか,この回路が肺サーファクタント脂質の代謝と機能にどうかかわるのか,という2点について,ホスファチジルコリン代謝に焦点を当てながら解説させていただく。生体膜には多様なリン脂質とそれらを代謝する多くのLPLATが存在し,興味を持った読者は他の優れた総説も参考にして欲しい2-4)。
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