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特集 古典的代謝経路の新しい側面
脂質メタボローム
Lipid metabolomics
北 芳博
1,2
Kita Yoshihiro
1,2
1東京大学大学院医学系研究科 ライフサイエンス研究機器支援室
2リピドミクス社会連携講座
pp.315-320
発行日 2014年8月15日
Published Date 2014/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101631
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メタボロミクスは概念的にはあらゆる代謝物を包括的に解析する研究手法であるが,実際にはすべての化合物に適用できる汎用的な分析法は存在していないため,通常,複数の分析手法を組み合わせてサブセットごとに解析が行われる。脂質メタボローム(リピドーム)はメタボロームのうち脂質関連代謝物に限定したサブセットである。中性脂質やコレステロール,脂肪酸,グリセロリン脂質,スフィンゴ脂質,糖脂質など多くの重要成分がこのサブセットに含まれ,解析対象となる分子種も数千種に及ぶ。近年,がんや糖尿病,精神・神経疾患,免疫・炎症疾患など重要な疾患において,脂質代謝物がその発症や進展のメカニズムにかかわる可能性が示されるようになってきたが,その背景には質量分析計システムを用いた網羅的な脂質解析法が利用されるようになってきたことがある。本稿では,筆者らが主に取り組んでいる脂質メディエーター解析およびリン脂質の網羅解析を中心に紹介したい。
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