増大特集 細胞表面受容体
●構造的特徴:1回膜貫通型◆受容体の遺伝子:CD300a
ホスファチジルセリン受容体CD300aとその機能
中澤 優太
1
,
小田 ちぐさ
1
,
澁谷 彰
1
Nakazawa Yuta
1
,
Oda Chigusa
1
,
Shibuya Akira
1
1筑波大学医学医療系 免疫制御医学
pp.448-449
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101509
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ペアレセプター1)(paired activating and inhibitory receptors)と称される分子群が,近年報告され,免疫系細胞の機能制御に重要な役割を果たしていることが明らかにされつつある。これらは細胞外構造はよく保存され,互いに類似しているが,細胞内構造が異なるために,一方は活性化シグナル,他方は抑制性シグナルを伝える分子群である。われわれは骨髄球系細胞の免疫応答に関与する新規分子として,CD300分子群(myeloid-associated immunoglobulin like receptor;MAIR,CLM,LMIR)を同定し,その機能を報告してきた2,3)。CD300分子群は細胞外に免疫グロブリン様ドメインを一つ持つⅠ型膜貫通型糖タンパク質である。データベースを用いた解析により,細胞外領域が互いに類似する分子九つでファミリーを形成していることが判明している。そのうちの一つであるCD300aは314個のアミノ酸から成り,その細胞内領域には四つのITIM(immunoreceptor tyrosine-based inhibitory motif)と呼ばれるモチーフを有することから抑制性シグナルを伝達すると考えられている3)(図A)。これまでにモノクローナル抗体による解析から,CD300aはマクロファージ,樹状細胞,肥満細胞,顆粒球などの骨髄球系細胞に発現していることが判明している。しかし,これまでリガンドの存在が明らかでなく,生体での機能は明らかにされていなかった。
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