増大特集 細胞表面受容体
●構造的特徴:1回膜貫通型◆受容体の遺伝子:PCDH
多様化したカドヘリン様膜分子群クラスター型プロトカドヘリンの生理機能
平林 敬浩
1,2
,
八木 健
1,2
Hirabayashi Takahiro
1,2
,
Yagi Takeshi
1,2
1大阪大学大学院生命機能研究科 時空生物学講座
2JST-CREST
pp.450-451
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101510
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
神経回路形成時に個々の神経細胞が他の莫大な数の神経細胞の中から適切な相手を選別し,シナプス結合を形成するためには多様化した細胞膜分子群による選択機構が存在するという仮説があるが,その実態は明らかになっていない。
クラスター型プロトカドヘリン(cPcdh)は脊椎動物の脳神経系で発現する多様化膜分子群であり,ゲノム上の比較的狭い領域に特殊なクラスター構造を持つプロトカドヘリン分子群である。この遺伝子クラスターは三つの遺伝子クラスターから構成され,それぞれプロトカドヘリン(Pcdh)α,Pcdhβ,Pcdhγ分子群を発現する。マウスではこれまでにPcdhαが14分子種,Pcdhβ,Pcdhγが共に22分子種存在することが知られており,Pcdhα,Pddhγの各分子種は分子種ごとに異なる多様化した一つの可変領域エクソンと三つの共通領域エクソンがスプライシングされ一つの分子種が発現している。一方,Pcdhβ遺伝子クラスターはイントロンを持たない分子種ごとの一つのエクソンから構成されている1)。また,すべてのcPcdhタンパク質は細胞外領域に六つの細胞外カドヘリンモチーフを六つ(EC1-EC6)有する1回膜貫通型タンパク質で,中枢神経系,特に発達中の軸索やシナプス膜画分に多く存在している。
Copyright © 2013, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.